教育を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化。塾への期待が高まるなか、関西圏で圧倒的な実績を収める馬渕教室では、入塾希望者が後を絶たない。さまざまな校舎の校長を歴任し、現在中学受験部門の部門長となったA氏は、授業から校舎マネジメントまで、多岐にわたる業務を任されている。この仕事の特徴は、多くの生徒だけでなく、生徒の数と同じ保護者とも関わる、非常に多くの人と接する点だ。生徒、保護者、スタッフ…。子どももいれば、大人もいる。お客さまもいれば、部下もいる。A氏は年齢や立場の異なるさまざまな人と接するにあたり、どのような点に気を配っているのだろうか。
「生徒には、子どもではなく、ひとりの人として接します。生徒を大人として認めて対等な立場で付き合うわけです。だから、注意をしても聞かないようなときは、厳しく叱ります。子どもだからといって、容赦はしません。」対等な立場で真剣にぶつかり合う。その熱い姿勢が、生徒からの信頼につながっている。
A氏が生徒と確かな信頼で結ばれていることを証明するエピソードがある。「奈良の校舎で授業を受け持っていたときに、手のかかる生徒がいました。注意をしても、すぐに忘れてしまう。肝心の勉強も、すぐに努力を怠る。そんな子だったので、成績も伸びず、志望校に届くわけもありません。私は成績のことよりも、その姿勢を改めさせたい一心で厳しく指導を続けました。すると、受験直前に姿勢が変化。見事、地元の最難関中学に合格してくれたのです。うれしかったのは、進学してからのこと。彼は定期テストのたびに成績表のコピーを持って、私のもとに訪ねてくるようになったのです。私が芦屋校に移ってからも、それは続きました。何よりも驚いたのは、成績が伸び続けていること。あんなに勉強嫌いだった子が、なんと京大をめざしていると言うのです。その言葉を聞いたときは、厳しく指導をしていて、ほんとに良かったと思いました。」
保護者にもスタッフにも、接するスタンスは、生徒のときと変わらない。講師は、生徒の人生に影響を与える仕事。表面上の付き合いでは、相手の心は動かせない。真剣にぶつかることが何よりも大切なのだ。
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